
時期

2025年9月1日を0%、年末を100%として件数の累計値を表示したグラフです。
熊出没情報全体の件数、緊急銃猟の件数、人身被害の件数、コメントに「柿」「栗」「捕獲」を含むデータの件数といったカウントをしています。
緊急銃猟件数の変化は、熊出没件数よりも約1か月遅れて変動していました。
このような違いを見つけて理由を探っていくのが、この記事の趣旨となります。
なぜ1か月遅れなのか?
準備が間に合わなかった?
※本当に間に合わなかった自治体は無視します。
単純に開始が遅れたなら終息時期は熊出没件数と連動しそうですが、実際には累計が90%に達する時期も1か月くらいの遅れがありました。
グラフから読み取れる内容として
緊急銃猟の線と柿の線は立ち上がりの時期が近い
→柿の木が多い場所=人の日常生活圏への侵入という要件を、この時点から満たし始めた可能性があります。
→その後柿の線だけが急激に伸びているのは、一例として「目撃数が多すぎて緊急銃猟の体制が組めなかった」といった理由が考えられます。
グラフにはありませんが、「熊出没警報」が各県で12月末まで出ていました。
(明確に分かる物だけで10県中6県で警報継続中)
→9月1日時点で既に警報だった県も存在することから、警報状態だけが判断基準ではなさそうですが、緊急銃猟を実施するという判断の土台として影響した可能性があります。

もうひとつのグラフを用意しました
熊出没情報と人口データを紐付けて、1日ごとにグループ化し、平均値と中央値を出したものです。
2025/12/24頃の山は宮城県仙台市の人口密集地で出没があったものです。(山を削除した版も作りました)
11月末~12月初め頃が特に多くなっていました。
既に熊出没件数の増加は落ち着いている頃ですが、目撃される地点の人口は多い傾向があり、緊急銃猟の要件を満たしやすかった可能性があります。
単純に準備が遅れた、あるいは前例が積み上がるのを待っていたためではなく、人口が多い地点での出没事例が遅れて増え始めたためという解釈もできそうです。
誘引物があった?
※下記の問題があります
・誘引物近くで足を止めた事例を強く拾っているかもしれない。
・移動中で緊急銃猟の判断ができなかった事例が隠れているかもしれない。
熊出没情報全体の中で、誘引物としての記載が特に多いのが柿と栗です。
(2025年9月~12月末のデータの少なくとも7%に「柿」「栗」が含まれる)
緊急銃猟の事例および付近の熊出没情報から、誘引物らしき記載のあるデータをカウントしました。
・緊急銃猟事例:54件 (座標が分かったのがこれだけ)
・現場に柿があった:16件
・現場に柿を含む何かしらの誘引物らしきものがあった:21件
・100m範囲内の緊急銃猟前1週間の目撃情報、緊急銃猟後2日程度以内に発見された痕跡に誘引物らしき記載があった:6件
→緊急銃猟の事例のうち、直接または短期的な間接要因として誘引物が疑われる事例の合計:24件(約44%)

熊出没地点の人口のグラフに対して、コメントに「柿」を含むデータの比率の線を足したグラフです。
これまでに分かったこと
・11月頃の熊の目撃情報には、柿に関するものが10%程度含まれる。
・12月初め頃にかけて、目撃地点と紐付く人口がやや多くなっていくようだ。
・緊急銃猟事例の約29%で柿に対する直接的な言及がある。約44%で何かしらの誘引物があった疑いがある。
直接的な根拠はありませんが、柿をはじめとする誘引物が、人里近くに接近していた個体の一部を市街地側に引き留め、または、滞在時間を長引かせる形で影響しているようにも受け取れます。
誘引効果が緩やかであることが、緊急銃猟の線の終息の遅れに影響しているのかもしれません。
その他の理由? 例えば捕獲能力の限界
「捕獲」の累計値の線は、他の線と比べて直線的に伸びています。
既存の捕獲能力の限界値に近付いていたのかもしれません。
ちょうど熊出没件数に追い抜かれた辺りから、緊急銃猟が増え始めているようにも見えます。
従来の捕獲手段の限界を超えた部分が緊急銃猟の対象になった可能性が考えられます。
余談:自衛隊の支援について
なぜ荷物運びをやっているのか不思議に思っていました。
累計のグラフの通り、捕獲数が伸び悩む状況でも緊急銃猟は実施されていました。
そこから連想すると、現場で最も不足していたのは撃ち手ではなく、罠の数または罠の回転数だった可能性があります。
自衛隊が当時すぐできる行動として、罠の回転数の底上げを支援したのかもしれません。
※捕獲データは原則非公開なので、グラフの線自体が間違っている可能性もあります。
緊急銃猟の開始が早ければ人身被害は防げたか?
緊急銃猟により、人里での不意の遭遇を減らす中~長期的な効果は考えられますが、
秋の初め頃に多発した人身被害に対して、直接的な予防効果を発揮したと期待するのは難しそうです。

累計のグラフに人身被害、熊の交通事故、出没情報、緊急銃猟を表示させたものです。
熊と人の物理的な接触が先にあって、その後に出没情報の増加が続くようになっていました。
グラフを見る限り、人身被害は人里への侵入初期に発生する場合が多いのに対して、
緊急銃猟は既に人里で滞在・定着している熊への対策としての意味合いが強く、
最初から別の段階を想定したものとなっているようです。
補足
人身被害や交通事故など、物理的な接触の時期こそが本当の出没時期で、
人身被害のニュースを聞いて、今まで通報していない人達が通報し始めたのではないか?
とも考えました。
→ならば終息時期は連動しそうですが、実際には線が離れており、実体が残っているのだと思われます。
・9月から12月にかけて、より人口密度が高い場所で目撃される傾向が見られる。
・(最初のグラフで)目撃情報の線の後に柿の線がある→まだ人里近くにいる
・最後に緊急銃猟の線がある→まだ人里近くにいる
これらの理由から、人身被害が多い時期の後にも熊が人里付近にいると推測しています。
わかったこと
今回わかったこと
・緊急銃猟は人里への侵入初期段階の対策としては効果が限定的なようだ。
・誘引物と人里への滞在の関連が否定できない。
・従来の捕獲手段は対処能力の限界が見えていたかもしれない。
・人身被害は人里への侵入初期段階で発生しているように見える。
既に行われていること
・電気柵で侵入を低減し、長期滞在の芽を摘む。
・柿をはじめとした放任果樹を片付ける。
・罠の遠隔監視システムで既存資産を効率的に使う。
・人里に侵入した熊が人と接触する前に検知し追い払う。
色々と調べた結果が全て実装済みでした。
特にAIカメラや追い払いドローンは、人里への侵入初期段階でも使えそうです。
ただ先進的という理由ではなく、人身被害の予防策として投入されているのかもしれません。
富山県「AI」を含む熊出没データの位置(赤い点)

時系列

所要時間
全体平均値:約5.7時間
全体中央値:約3.2時間
発見から発砲までを集計しただけです。原状回復まで含めた時刻のデータは見つかりませんでした。
夜の影響
夜間をまたぐ6事例全てで所要時間が長くなっていました。
うち2例では、夕方に目撃され、翌日の日の出から1時間以内に発砲がありました。
夜という時間帯が発砲までの判断に影響していた可能性があります。
※環境省「緊急銃猟ガイドライン」の15ページに、夜間の発砲は要件が増える旨が書かれています。
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort15/doc/guideline.pdf
残りの4例のうち3例は目撃時間が夜中や早朝でした。上記の2例とは性質が異なっているように見えます。
・垂直に近いコンクリート壁に囲まれた河川の中にいた
・工場の敷地内(中庭?)にいた
・牛舎に閉じ込めており牛の混乱を避けた→罠にかからないので麻酔銃を使用した。
との報道がありました。
時間帯以外にも、地形的に熊の移動を制限できた等の理由が絡んでいるかもしれません。
残りの1例では直接的な理由が書かれていませんでした。親子連れだったこと、全方位が住宅に囲まれていること、窓ではなく屋根から発砲する映像があるなど、何かしらの理由があったのかもしれません。
グラフを見て、棒の終端がやや切り揃えられている印象を受けました。
個人的な想像として、自治体職員が「日没前に急いで発砲するリスク」と「夜間に熊が移動してしまうリスク」の間で難しい判断を迫られたのでは?と感じました。
そこで、各事例ごとに日の出・日の入り時刻を計算して、どんなタイミングで発砲を行ったかカウントしました。
・日の出時刻から1時間以内の発砲:4件
・日の入り時刻から1時間以内の発砲:9件
今回集めた事例の所要時間から見て、昼間に発生した目撃情報に対して対処したのであれば、極端な偏りとまでは言えず、「焦って発砲を許可した」とする根拠はありません。
なお、日の出から1時間以内に発砲が行われた4件のうち、少なくとも3件は前日から熊の存在が認知されていたようです。
熊の出没情報は朝と夕方に増えますが、今回調べた中では、夕方から始まる線が少なくなっていました。
これは定義上の問題で、夜間は一旦ロスト、翌朝に再発見という扱いになっていると思われます。
※私もデータを集める過程で、少なくとも4件は別件扱いとしました。「前日に目撃されたのが実は別の個体だった」という問題を避けるための対策です。
緊急銃猟を決定するタイミング
緊急銃猟が決定された時刻は半分が不明でした。
「猟友会に委託した時刻」や「発砲を許可した時刻」が発表されている場合は、その時刻を使いました。
決定時刻が分かったもの全25件中
0分~10分以内に発砲があったもの:10件
0分~30分以内に発砲があったもの:15件
周囲の交通規制・住民への通知(戸別訪問)をする時間としては短いと思われます。
「体制を整えた後で最終的に首長が発砲を許可している」と見た方が良さそうです。
決定から発砲までの時間が長い物を洗い出しました。
上位4件です。
①81%:人口密集地の中心にある娯楽施設の駐車場に侵入した。
②76%:現住建造物の中に侵入した。住民の救出作業も行われた。
③72%:柿の木の上にいた。そもそも所要時間が37分間となっており他と比べて短い。
④69%:住居と隣接する離れに侵入した。
これより下は比率が50%を下回ります。
特に上位2件は遮蔽物なしで人間と接触することが想定されるため、他の事例よりも早い段階で緊急銃猟の決定が行われた可能性があります。
データから分かった内容を元に
・首長が発砲を許可した時刻が外部向けに発表されている。→責任の所在の明確化。
・体制を整えた後に発砲を許可したとみられる。→首長によるダブルチェックの効果。
・人との接触リスクが高そうな状況では早期に緊急銃猟の決定が行われているように見える。
と解釈するならば、緊急銃猟の決定タイミングは「住民の安全確保という制約の影響で変動している。」と読み取れます。
出来事
- 緊急銃猟を許可した旨が現場に届く前に熊が向かって来た。→警察官職務執行法に基づき発砲
- 一時的に見失った。(5件)
- 対象個体が見つからなかった・逃げた。(5件)
- 弾が外れた。
- 発砲し命中したが、日没を迎えた。捕獲(回収)作業は翌日になった。
- 木の上にいた。(3件)
- 有人の建物に侵入した
- 当初2頭とみられていたが緊急銃猟の対応中に3頭だと分かった。
- 日没により活動できなかった。翌朝200mほど離れた場所で再発見した。
- 首長が事前に許可(委任)していて、現場で緊急銃猟を判断した。
- 錯誤捕獲が発生。熊が暴れて罠を壊す可能性があり、麻酔銃の手配が日没までに間に合わない。
- 周囲がコンクリートで囲まれた場所にいた。
熊を捕獲した手段
個人的な印象として、麻酔銃の方が安全そう→人口密度が高い所で選ばれそうな気がして調べたものです。
結果として、差は小さく事例数も少ないため、まだ何とも言えません。
捕獲手段
| 手段 | 件数 |
|---|---|
| おそらく銃 | 41 |
| 麻酔銃 | 8 |
| 結果的に罠に入った | 1 |
| なし(対象を見失った等) | 4 |
所要時間
※麻酔銃の事例では2日間を超える立てこもりが1件含まれる。
| 手段 | 平均値(時間) | 中央値(時間) |
|---|---|---|
| 銃 | 4.90 | 2.86 |
| 麻酔銃 | 9.79 | 3.90 |
周囲の環境
| 手段 | 発生地点の人口 (平均値) | 発生地点の人口 (中央値) | 土地被覆が人工構造物 の割合(周囲100m) | 土地被覆が人工構造物 の割合(周囲200m) |
|---|---|---|---|---|
| 銃 | 230.58 | 132.00 | 41.02% | 38.60% |
| 麻酔銃 | 283.12 | 95.50 | 49.21% | 46.06% |
出来事
どちらも同じような内容となっていました。
・建物内にいた、侵入した
・こども園や小学校の近く
・住宅の敷地内
・柿の木に登っていた
「麻酔銃の射程外なので銃を選んだ」「日没までに麻酔銃の手配ができないので銃を選んだ」という記載がありました。これらは銃としてカウントしました。
環境省の緊急銃猟ガイドラインでは「麻酔銃で撃たれたことにより対象個体が興奮し」「慎重に検討する必要がある。」といった言葉が書かれていました。
実運用では周囲の人口や人工物だけでなく、手段の手配にかかる時間や対象個体の拘束状況など、多くの要素を元に判断が行われるようです。
個体
性別

緊急銃猟の対象となった個体の性別は、分かった範囲でオス15頭、メス15頭の同数でした。
親子連れだった場合に親だけをカウントすると、オス15頭、メス12頭となりました。
親子連れのうち、子とみられるオスだけが捕獲された例が1件があり、ここではオス1頭として処理しています。
「子連れのメスが生息地の辺縁部へ追いやられた」という話を聞いたことがあるので、何かしらの差が出るのか調べてみました。
| 性別 | 人口 (平均) | 人口 (中央) | 平均傾斜角度(平均) | 周囲100mの土地被覆(人工構造物)(平均) | 周囲200mの土地被覆(人工構造物)(平均) | 周囲200mの土地被覆(水田+畑)(平均) | 周囲200mの土地被覆(○○樹)(平均) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オス | 368 | 109 | 4度 | 146px | 541px | 111px | 61px |
| メス | 143 | 127 | 3度 | 151px | 540px | 124px | 37px |
人口メッシュの平均値と中央値がオス・メスで逆転していますが、オスの事例には人口1000人越えのメッシュへの出没例が2件ありました。
数字には差がありましたが、元々連動することが想定される項目であり、データ量も少ないため、
今回の結果をもって性別による差があるかは分かりません。
体長・体重

緊急銃猟の対象となった個体の体長を、分かる範囲でまとめました。
親子連れが捕獲された場合は親子全個体の体長をカウントしています。
結果としては体長約0.5mが最多でした。大きい個体ほど数が減っていくように見えますが、0.5mが8頭、1.2mが7頭、1.5mが5頭と、あまり大きな差ではないようにも見えます。
少なくとも「親とはぐれた子熊が人里へ入り込む」というのは緊急銃猟の支配的な要因ではないようです。
散布図

体長と体重両方が分かったデータで散布図を作りました。
「体重がこれ位なら無理なく冬眠するんじゃないか」という下限線も描いてみました。
下限とする根拠はありません。
現地付近の堅果類の作況は、凶作14件、不作2件でした。
冬眠前としては体重が軽そうな個体が見られるため、一部の個体が栄養不足だった可能性は否定できません。
一方で、十分に太った個体もいました。堅果類が凶作のなかで太った理由としては、
資源の偏在や人里付近の食料が考えられますが、それまでの過程を追えるデータが無く、証拠がありません。
現在のデータ数では、軽い個体(飢餓)・重い個体(人里定着)の両端だけが緊急銃猟の対象になったのかは判断できません。
人口
人口の多さ


緊急銃猟件数は0~49の人口帯が最大でしたが、同人口帯のメッシュ数も多いため、
率で見ると小さな値になりました。
緊急銃猟の発生率(の先頭部分)と熊の出没率のグラフでは、同じ形になっていませんでした。
単純に「熊を目撃したら緊急銃猟」という関係ではなさそうです。
特に人口が少ないエリアで緊急銃猟が行われた事例を抜き出しました。
0人:山奥にある有人の温泉施設に熊が侵入した。
2人:箱罠での捕獲。同一メッシュ内に「遊園」と名の付く施設、隣のメッシュに学校。
11人:メッシュの多くが河川敷と工場。隣のメッシュは住宅街。
12人:牛舎に侵入して立て籠もった。
今回私が使用しているデータは、500m人口メッシュから機械的に人口を出したもので、昼間の人口や周囲のメッシュは見ていません。
個別に見ていくと、周囲に人がいたことが分かりました。
行政が人口の少ない地点で緊急銃猟の判断をした一因として、実際には周囲に人がいたことが影響した可能性があります。



熊出没情報と周囲の人口を紐付けていくと、12月にかけて人口密度の高い場所で目撃されることが多いようだと分かりました。
「柿への言及」と「周囲の人口」は「人里らしさ」という意味で似た性質を持っていそうです。
しかし、
・熊は誘引物があるから人里に来たのか
・探索行動で人里に出てきたのが先で、結果的に柿を発見したのか
が、今の手持ちデータからは判断できないようです。
人身被害の発生は、必ずしも熊出没件数や周囲の人口とは連動していないかもしれません。
高齢化率
熊の出没件数は、やや高齢化率が高い方へシフトしている形になっていました。



熊出没地点の人口と緊急銃猟地点の人口、
熊出没地点の高齢化率と緊急銃猟地点の高齢化率 でU検定を実施してみました。
| 項目 | p値 | r値 |
|---|---|---|
| 人口 | 0.000039 | 0.026049 |
| 高齢化率 | 0.417531 | 0.005139 |
いずれも500mメッシュという範囲で見た場合、
通常の熊出没と緊急銃猟に至る場合との違いは、人口の多さだけでは説明できないようです。
高齢化率の高さ・低さは、熊出没の背景かもしれませんが、緊急銃猟地点の決定因子ではなさそうです。
気象
一応調べましたが、差があったとしても、ただの偶然で説明できる範囲だと思います。
出没:22276件、人身被害:156件、緊急銃猟:54件です。
いずれも2025/09/01~2025/12/31のデータを集計しました。
該当地点から最も近い観測所の値、値が空なら次に近い観測所…という感じで気象データを紐付けました。
時刻や地点が不明なデータは除外しています。
前日との差
| 種別 | 前日との気温差平均(℃) | 前日との降水量差平均(mm) | 前日からの降水量合計平均(mm) | 日照時間の差平均(時間) | 風速の差平均(m/秒) | 現地気圧の差平均(hPa) | 湿度の差平均(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 出没 | 0.26 | 0.09 | 0.84 | 0.00 | 0.03 | -0.45 | 0.83 |
| 人身被害 | 0.60 | 0.10 | 0.90 | -0.02 | 0.01 | -0.09 | 0.89 |
| 緊急銃猟 | -0.47 | 0.44 | 0.63 | -0.06 | 0.04 | 0.69 | 4.02 |
前日との差(回数で見る)
種別ごとのデータ件数全体に対して、この変化が何回(何%)発生したかを調べました。
| 種別 | 方向 | 前日との気温差5℃以上 | 前日との降水量差5mm以上 | 前日との風速差3m/秒以上 | 前日との現地気圧差10hPa以上 | 前日との湿度差20%以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 出没 | 上 | 7.19% | 1.34% | 6.18% | 7.61% | 13.20% |
| 出没 | 下 | 4.99% | 0.80% | 5.85% | 8.34% | 11.63% |
| 人身被害 | 上 | 8.97% | 0.64% | 5.13% | 5.77% | 12.18% |
| 人身被害 | 下 | 5.13% | 1.28% | 5.13% | 6.41% | 14.10% |
| 緊急銃猟 | 上 | 1.85% | 1.85% | 5.56% | 7.41% | 9.26% |
| 緊急銃猟 | 下 | 12.96% | 0.00% | 3.70% | 5.56% | 7.41% |
降水
| 種別 | 降水なし | 降水あり |
|---|---|---|
| 出没 | 90.17% | 9.79% |
| 人身被害 | 89.74% | 10.26% |
| 緊急銃猟 | 98.15% | 1.85% |
風向


感想文
集計期間は秋から冬なので、単純に前日と比較すれば気温が下がりそうな気がしましたが、実際には出没データでは若干プラスになっていました。
熊出没は10月頃、緊急銃猟は11月以降に多かったので、集計時期が違うことなどが影響しているかもしれません。
地形
緊急銃猟発生地点54件
| 項目 | 河川からの距離(m) | 標高(m) | 傾斜(度) |
|---|---|---|---|
| 平均値 | 199.75 | 128.03 | 4.15 |
| 中央値 | 119.13 | 89.7 | 1.4 |
同時期の熊出没データ27575件で調べた値
| 項目 | 河川からの距離(m) | 標高(m) | 傾斜(度) |
|---|---|---|---|
| 平均値 | 309.88 | 167.97 | 6.21 |
| 中央値 | 190.21 | 83.9 | 3.8 |
U検定の結果
| 項目 | p値 | r値 |
|---|---|---|
| 河川からの距離 | 0.014770 | 0.014667 |
| 標高 | 0.159306 | 0.008467 |
| 平均傾斜 | 0.000635 | 0.021645 |



今回は、緊急銃猟発生地点が「川に近い」「傾斜が緩やか」という事しか分かっていません。
そもそも家の位置や熊の移動経路が偏っているとか、川の土手をバックストップにしようと誘導したとか、そういった背景事情は何も分かりません。
3項目の中だけで比べると、平均傾斜が一番「人の生活圏」を表していそうな気がします。
そもそも熊出没エリアと緊急銃猟発生エリアは重複しているようです。
緊急銃猟の理由を地形だけで説明するのは難しそうです。
土地被覆
種別ごと



距離ごと



緊急銃猟のグラフは、他のグラフと比べて、全ての距離で人工構造物の比率が高めの値となりました。
200m→100mにかけて人工構造物の割合変化が小さめでした。
緊急銃猟発生地点近くに偶然建物があったとするよりは、建物の割合が優勢な地点で出没があったように見えます。
緊急銃猟地点の被覆の割合を見ると
・人工構造物の割合がやや下がる→建物を避けた?
・水田の割合が下がる→稲で視界が遮られる、平坦すぎて射撃に向かない?
・草地の割合が上がる→そこに居座った、そこにバックストップがあって誘導した?
いろいろな見方ができそうですが、現状のデータ件数では1事例で比率が2%近く動くため、まだ何とも言えません。
人身被害のグラフ
山菜・キノコ採りで山に入った事例と、住宅近くで襲われた事例とを分離できていないため、他のグラフと比べて森林の割合が多く見えています。
襲われた地点としては、畑の割合が目立ちました。
※人身被害発生地点の座標精度はあまり期待できません。
効果
緊急銃猟によって、その後の熊の出没は防げたのか? を調べました。
結論としては、実質何も分かっていない状態です。
緊急銃猟当日を中心として、前1週間、後1週間のそれぞれの熊出没情報件数をカウントしました。
問題点
・今回の集計時期は、元々出没数が減っていく時期と重なっていて、影響を分離できていません。
・捕獲に至らなかった場合の減少率が0%とありますが、具体的には捕獲に至らなかったデータが5件あり、緊急銃猟前の目撃数が合計で1件、緊急銃猟後は1件、結果として減少率0%というものです。
| 距離 | 1日 捕獲 | 1日 捕獲以外 | 1週間 捕獲 | 1週間 捕獲以外 | 2週間 捕獲 | 2週間 捕獲以外 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100m | 100.00% | 0.00% | 96.15% | 75.00% | 86.67% | 75.00% |
| 300m | 91.30% | 0.00% | 87.27% | 80.00% | 80.00% | 83.33% |
| 500m | 90.00% | 0.00% | 83.53% | 33.33% | 76.15% | 50.00% |
| 1000m | 90.00% | 60.00% | 75.91% | 15.38% | 66.06% | 33.33% |
| 3000m | 49.12% | 37.50% | 53.36% | -20.00% | 37.64% | 6.56% |
| 5000m | 17.39% | 50.00% | 34.49% | -5.66% | 38.02% | 16.53% |
緊急銃猟の現場付近では捕獲の有無に関わらず、2週間先まで減少率が大きな値になっていました。
緊急銃猟での捕獲有無とは直接関係しない何かがありそうな気もします。
例えば、追い払いの効果が実は2週間先まで続く、緊急銃猟の現場付近にあった誘引物が撤去されたなど。
緊急銃猟の現場から500mを超えた辺りから、影響の有無らしき変化が小さくなり始め、周囲3kmでは数字が逆転していたりします。
都合よく解釈していけば、現場付近で何か変化があったようにも見えますが、これといった根拠はないという状態です。
別の年の同時期のデータと比べるとか、周辺の状況が似ていて緊急銃猟が行われなかった地点と比較するとか、手間をかけた解析をしないとダメかもしれません。
使用データ
土地被覆データ(JAXA提供)
JAXA高解像度土地利用土地被覆図 2024JPN_v25.04
データセット|ALOS@EORCホームページ
人口データ
e-Stat 人口及び世帯 (JGD2011)4次メッシュ(500mメッシュ)
統計地理情報システムデータダウンロード | 政府統計の総合窓口
河川データ
国土数値情報ダウンロードサイト 河川データ
国土数値情報 | 河川データ
標高・傾斜データ
国土数値情報ダウンロードサイト 標高・傾斜度5次メッシュデータ
国土数値情報 | 標高・傾斜度5次メッシュデータ
気象データ
気象庁|過去の気象データ検索
熊出没・人身被害・緊急銃猟データ
2025/09/01~2025/12/31のデータだけを使いました。
クマ出没マップ | 汎用投稿システム Sharp9110