設定

勤怠管理システムの自作-契約情報編集画面

概要

労働時間の計算に必要な各種設定を行うための画面です。
月報作成時、ここで設定した内容を参照して実働時間や残業時間の計算を行います。

労使協定や就業規則をもとに入力を行います。
この画面は契約データ作成のみで、ここで作成した契約データを、誰に・どれくらいの期間適用するかは、別の画面で設定します。

実装エピソード

当システムの中では最も項目数の多い画面です。DBのカラム数は62件になりました。

入力チェック機能を実装する時に「登録できる == 合法」を目標に、法的な制限も考えてチェック処理を作り込んだため、時間がかかりました。
特定の企業専用に作る場合は、違法な入力は行われないという前提で、入力チェック処理を緩くしても良いと感じました。

特定の企業専用に作る場合でも法改正対応は必要になるので、ある日付を境にして契約データ(計算ロジック)を差し替えられる仕組みは必要だと思います。

入力項目

契約名

契約データを識別するための名前を入力します。

「2022_本社_フレックス」のような名前を付けると良いと思います。
契約データの元となる労使協定は1年ごとに作り直しになる事が多いため、名前の先頭に年を入れておくことでソートしやすくなります。

データの識別にIDを使う方法も考えましたが、IDの採番形態が会社によってバラバラかもしれないので、名前だけで識別する方式にしました。

変形労働種別

通常、1か月単位、1年単位、1週間単位、フレックス の中から選択します。
初回登録時のみ選択可能です。データの整合性を保つ関係で、後から変更することはできません。

ラジオボタンの選択値に応じて、入力不要な項目が非表示になります。
cssを使って非表示にしているだけなので、サーバー側に値が送られます。サーバー側の処理で入力不要な項目をnullにしてからDB登録を行うようにしています。

解釈ロジック

月報作成の際、1日分のデータを作るためのロジックを指定します。

当システムでは、法改正による仕様変更や企業ごとに微妙に違う処理の実装が必要になった場合に備えて、月報作成ロジックを差し替えられるようにしています。
複雑な分岐処理の実装を諦めて、別のクラスを作ってしまおうという発想です。

打刻丸め種別・丸め間隔

勤怠管理システムを便利に扱えるように、打刻の丸め機能を搭載しています。

勤怠管理システムの自作-打刻時刻の丸め

特例事業場専用

ONにした場合、1週間の法定労働時間の限度が40時間→44時間になります。
データの不整合を防ぐため、一度ONにして登録すると、OFFに戻せなくなります。

事業場情報編集画面の同名項目と同じ役割です。

日付変更線

意味

勤怠管理システムの中で「1日」が切り替わる時刻を指定します。
始業時刻よりも前、最も早く出社する人より前の時刻を設定します。

この項目を作った経緯として・・
・0時0分を境にした場合、暦日を跨いで残業した分が翌日の労働時間として計上されてしまう。
・始業時刻を境にした場合、始業時刻より前に打刻すると前日の労働時間として計上されてしまう。
という問題があり、上記とは別の時刻を境にして日付を変える必要があると考えました。

法律関連の情報

昭和63年1月1日 基発第1号
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1899&dataType=1&pageNo=1
前日からの継続勤務の場合は暦日が変わっても1つの勤務と見なす。

平成11年3月31日 基発第168号
(原文が見当たりませんでした)
前日からの継続勤務の場合、始業時刻を超えた後の時間帯は残業扱いでなくても良い。

仕様バグ

前日から継続勤務した場合に、残業扱いが必須ではなくなる境界線について、
基発第168号では「始業時刻」を境にすると書かれていますが、当システムでは誤って「日付変更線」を境にしてしまいました。

勤務開始時刻・勤務終了時刻

就業規則をもとに、始業時刻と終業時刻を入力します。

変形労働時間制の場合は、ここで入力した値がカレンダー設定時の初期値として使われます。日々の始業時刻・終業時刻はカレンダーで設定することになります。

フレックスタイム制の場合は本来入力する必要がありません。
しかし、必須入力チェックを解除する処理の実装を忘れたため、適当な値を入力する必要があります。

休憩設定

意味

休憩時間を設定します。複数の時間帯を指定することができます。
各時間帯が重複しないように入力する必要があります。

From < 日付変更線 である場合、翌日の時刻として扱います。
To <= 日付変更線 である場合、翌日の時刻として扱います。

From == To
実用上の意味はありません。
1分間だけ休憩時間を設けるとか、丸一日休憩時間にするという入力ができます。

From > To
To側が翌日の時刻となっている場合は正常な入力として扱います。
それ以外の場合は入力エラーとなります。

強制休憩
月報作成時に休憩時間を自動計算するために使います。
開始打刻~終了打刻までの「働いていた時間帯」と、強制休憩の時間帯の重複した部分を休憩時間として扱います。
この機能により、大抵の会社では出勤時と退勤時に打刻するだけで休憩打刻をせずに済みます。
強制休憩をOFFにした場合、DBには登録しますが、システム内では全く使われません。

強制休憩の時間帯も労働していた場合、月報を作った直後は休憩時間として扱われてしまうため、月報の修正機能を使って正確な休憩時間を入力しなおす必要があります。

法律関連の情報

労働基準法 第34条 に休憩に関する記載があります。

色々なサイトを見る限り、法律に書かれている休憩時間は合計値であり、休憩時間を分割することは問題ないようです。
分割できる最小値は、労働基準法 第34条 ③ にあるように「自由に利用」するのに十分な長さを確保しているかが基準になるはずですが、明確な数値は見つかりませんでした。
当システムでは休憩時間の最小値についての制限はありません。
実際の運用では就業規則で定めて労働基準監督署に提出するはずなので、異常な値にはならないと考えています。

労働基準法 第34条 で”労働時間の途中に”と書かれていることから、
休憩時間は勤務開始時刻・勤務終了時刻の間(またはコアタイムの間)に設定する必要があり、かつ、1時間(or 45分)以上を確保する必要があります。

会社によっては「所定労働時間内に1時間の休憩を与える。残業が発生した場合はさらに30分の休憩を与える」という仕組みになっている場合があります。
勤怠管理システムとしては、勤務開始時刻~勤務終了時刻の範囲外にも休憩時間を設定できる必要があります。

当システムの場合、
勤務開始時刻~勤務終了時刻の範囲外にも休憩時間を設定できる機能はあります。
1時間(or 45分)の休憩時間を確保しているかチェックする処理は実装しましたが、勤務開始時刻~勤務終了時刻の中だけで確保できているかはチェックできていません。(忘れていました)

所定労働時間

1日の所定労働時間を表します。
勤務開始時刻・勤務終了時刻や休憩時間の入力値をもとに自動計算した結果を表示します。
この値が8時間以下になるように入力する必要があります。

変形労働時間制ではない場合、この値をもとに残業発生、代休発生の判定を行います。
変形労働時間制である場合は所定労働時間が日々変化するため、この項目ではなく、カレンダーに紐付いている所定労働時間の値を使います。

所定労働時間はDBに保持せず、都度計算によって求めることもできます。
当システムの場合は、月報作成時の処理速度が落ちることを恐れて、事前に計算してDBに持たせる仕組みにしました。

時間休利用日数

有給休暇を時間単位で使えるようにする場合、何日分まで許可するかを設定します。
労働基準法 第39条 ④ の記載通り、最大値は5です。

法定休日変動

前提条件として、当システムではカレンダー上の個々の日付が{労働日, 所定休日, 法定休日}のどれにあたるか明確に指定する仕組みになっています。

意味

例えば毎週土曜日と日曜日が休みの会社で休日出勤が必要になった場合
土日どちらかに出勤して、もう一方の曜日に休めば「毎週少なくとも一回の休日」の要件は満たせるので、休日労働扱いにする必要はありません。

勤怠管理システムの内部で「実際に休んだ日が法定休日」と判定する処理の挙動を設定できます。

法定休日変動種別説明
固定カレンダーで法定休日と設定した日のみを法定休日として扱います。
意図的に法定休日を狙って休日出勤することで、割増賃金を獲得しやすくなるという問題があります。
週内で変動1週間の中で法定休日、所定休日を探し、打刻が無い日を優先的に法定休日として扱います。
「1週間」の定義は、
通常勤務の場合は起算曜日を起点にした1週間。
変形労働時間制の場合は変形期間起算日を起点にした1週間を指します。
4週間で4日未実装です。

「1週間」の一部が前月の月報に含まれる場合があるため、前月の月報を参照して休日を探すなど、複雑な処理になってしまいました。

法律関連の情報

労働基準法 第35条 休日についての要件が書かれています。
労働基準法 第37条 割増賃金について書かれています。具体的な率は政令で定めると書かれています。

「政令」というのは、おそらくコレです。
平成6年 政令第5号
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=406CO0000000005_20150801_000000000000000

起算曜日

法定休日に関連して「1週間」という言葉が頻繁に登場しますが、1週間が何曜日から始まるのかを設定します。
変形労働時間制の場合、変形期間起算日の曜日を自動でセットします。
通常勤務の場合は、ここで入力した曜日を起点とした7日間を1週間として扱います。

法定休日を変動させる際に、ここで指定した値をもとに1週間の範囲を決めています。

超過労働起算日

労働基準法施行規則 第12条の2 ②
休日の頻度「4週間に4日」の起算日。未実装なので今のところ無関係です。

労働基準法施行規則 第17条
1年単位で超過労働時間を計算するときの起算日として使います。

限度時間設定

意味

限度時間の値と割増率を入力します。

典型的な値を初期値としてセットしているため、ユーザーが操作する機会は少ないはずです。

ここで設定した値は月報作成時に使います。
「超過労働起算日」の値を起算日として一定の期間ごとにグループ化し、個々のグループ内で実動時間の合計を計算し、限度時間を超えた分の労働時間が割増賃金の計算対象となります。

限度時間(1日を超え3か月以内の期間) と 限度時間(1年間) 両方の限度時間を超えた場合、割増率が高い方へ計上します。

限度時間の適用対象外の事業場である場合、初期値のままで登録すればOKです。月報の作成時に限度時間の設定を無視します。

法律関連の情報

労働基準法 第36条 ④ 限度時間の最大値の仕様
労働基準法 第37条 割増率の最小値の仕様

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-2_03.pdf
限度時間(1日を超え3か月以内の期間) と 限度時間(1年間) 両方の限度時間を超えた場合、どちらか一方の割増率を適用すれば良く、割増率を合計して適用するわけではない。

変形期間起算日入力タイプ

変形労働時間制の場合のみ入力できます。

・特定の日付
起算日を明示的に指定します。

・毎月決まった日付
1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制で選択可能です。
月末日を指定する場合は「31」と入力すればシステム側で適切な応当日に読み替えて処理します。
内部的には「特定の日付」を選択した場合と同じくDateTime値を起算日にした方が楽なので、超過労働起算日の日付要素を書き換えた結果を起算日として処理を行います。

変形期間起算日

変形労働時間制の場合のみ入力できます。

変形期間起算日入力タイプの選択値に応じて入力方法が変化します。

変形期間

1か月単位、1年単位の変形労働時間制の場合のみ入力できます。

変形期間を指定します。カレンダー設定の際、変形期間の中で所定労働時間の平均値を計算して、法定労働時間を超えていないかチェックするために使います。

当システムの場合は「1か月と20日」といった形式で指定します。「50日」のように日要素だけで1か月を超える値を指定することは考えておらず、日要素は最大で28までしか指定できません。

当システムでは、下記の表の制限範囲内であれば、ある程度自由に期間を指定できるように実装しました。

種別変形期間
1か月単位の変形労働時間制1日 ~ 1か月
1年単位の変形労働時間制1か月+1日 ~ 1年
1週間単位の変形労働時間制1週間
フレックスタイム制1日 ~ 3か月

※フレックスタイム制は参考程度に記載しました。変形期間ではなく清算期間なので意味が違います。
※変形期間の最小値が「1日」と書いてある場合、法律の定めではなく、勤怠管理システム独自の都合によるものです。

労働基準法 第32条の2 では”一箇月以内”と書かれているだけで、最小値についての指定はありません。極端な例として、変形期間を3日とすることも有り得るかもしれません。
極端な値が設定できないように制限をかけてしまえば、仕様を単純にできて実装も楽になると思います。

変形期間週

1か月単位の変形労働時間制の場合のみ入力できます。

変形期間を週単位で指定する場合はこちらに入力します。
こちらはユーザーが入力・確認するための項目で、システム内部では変形期間に「週 * 7(日)」の計算結果結果を格納しています。

特定期間

1年単位の変形労働時間制の場合のみ入力できます。

意味

休日の頻度に対する制限が緩くなります。
From~To形式で複数件登録できます。

種別休日の頻度連続して労働させられる日数(最大値)
通常7日に1度6日
特定期間1週間に1度12日

「1週間」の定義について
当システムでは、変形期間起算日を起点として、7日ごとに分割した結果を「1週間」として扱っています。

法律関連の情報

特定期間については、労働基準法 第32条の4 ③ に書いてあります。
具体的な休日の頻度は、労働基準法施行規則 第12条の4 ⑤ にあります。

厚生労働省から出ている資料
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-6a.pdf

東京労働局から出ている資料
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/1nen.pdf

“対象期間に入った後に、特定期間を変更することは認められない。”とあります。
当システムでは、データの変更を禁止するような仕様はありません。(面倒なので実装しませんでした。)

上記資料で”対象期間の相当部分を特定期間とすることは法の趣旨に反する”と書いてありますが、具体的に何パーセント以上がダメになるのか、明確な基準は見つかりませんでした。
平成11年3月31日 基発169号 に”労使が十分話し合って決めるべき”とだけ書かれています。

当システムの場合、特定期間の日数が 対象期間の日数の30%を超えた場合は「ダメ」と判定する処理を入れました。30%という値に根拠はなく、「週休1日はダルいので、最大値を制限してやろう。」という発想で実装しました。

平成11年3月31日 基発169号
特定期間の入力をしなかった場合、自動的に「特定期間を定めない」という協定を結んだ事になると書かれています。「定めない」というのは未定・保留という意味ではなく、「特定期間は存在しない」という意味です。

変形期間分割月・日

1年単位の変形労働時間制の場合のみ入力できます。

意味

対象期間を分割する長さを指定できます。最小値は1か月です。

対象期間を分割した場合、カレンダーの設定時に最初の期間だけ労働日・休日の指定をして、残りの期間を「未設定」とすることができます。
未設定とした場合、DBのデータがnullになるわけではなく、未設定を表す値が登録されます。
法律に従う限り、未設定のまま分割した期間の当日を迎える可能性はありません。

対象期間の先頭以外の部分については、カレンダーの設定時に労働日数と総労働時間を入力する必要があります。

法律関連の情報

労働基準法 第32条の4 ① 箇条書きの”四”の所に対象期間を分割できる旨が書いてあります。

労働基準法 第32条の4 ② 各期間の初日の少なくとも30日前に労働日及び労働日ごとの労働時間を定める必要があると書かれています。

未設定としていた期間について、労働日及び労働日ごとの労働時間を定める際に、特定期間を指定しなおすことはできません。
(当ページ 特定期間の欄を参照)

当システムでは「30日前に」に関して、入力の催促や変更を制限するような仕様はありません。
各期間の初日が接近したら設定を促すメールを送る機能があると、設定忘れが無くて便利だと思います。

清算期間月・日(フレックス)

フレックスタイム制の場合のみ入力できます。

実際の労使協定や就業規則に合わせて清算期間を入力します。
1日~3か月の範囲で指定できます。

理論上、1つの月報集計期間の中に複数の清算期間が設定される場合が有り得ます。
清算期間の中で消化しきれなかった労働時間を次の清算期間に繰り越す場合、月報(1か月に1件のデータ)に対して繰り越す時間を持たせると、計算がうまくできなくなるかもしれません。
当システムの場合は、月報の1日分のデータに対して繰り越す時間を持たせるようにしました。
実際の運用を考えた場合、清算期間の最小値を1か月、刻み値を1か月単位と制限しても、大した問題は起きないはずです。

標準となる1日の労働時間(フレックス)

フレックスタイム制の場合のみ入力できます。

フレックスタイム制で時間休や半休を取得する場合、この値を所定労働時間として使います。

総労働時間指定方法(フレックス)

フレックスタイム制の場合のみ入力できます。

・固定値
総労働時間の値をすべての清算期間で常に一定の値にします。
働く曜日さえ問わないスーパーフレックス制と相性が良いかもしれません。

・1日n時間×所定労働日数
「n時間」に相当する値を手動で指定します。
所定労働日数は、カレンダー設定をもとに動的に判定します。
日々コアタイムを設定するようなフレックスタイム制と相性が良いかもしれません。

・標準となる1日の労働時間×所定労働日数
上記の「n時間」に「標準となる1日の労働時間」の値を自動入力した状態になります。
入力項目を減らせるだけの機能で、内部的には1日n時間×所定労働日数と同じ挙動になります。

法律関連の情報

労働基準法 第32条の3 1週間あたりの労働時間が40時間を超えないこと
労働基準法施行規則 第25条の2 ③ 特例事業場は1週間あたり44時間
労働基準法施行規則 第25条の2 ④ 清算期間が1か月を超えたら44時間の適用対象外になる

「法定労働時間の総枠」の計算式が書かれた資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

総枠の計算で小数点以下の値が出た場合についての記載がありません。
当システムでは小数点以下切り捨て(Math.Truncate)としました。
明確な根拠があるわけではなく、労働者に有利な方に倒しておけば良いだろうと予想した結果です。

ユーザーが入力した総労働時間が、上記の法定労働時間の総枠を超えた場合、入力エラーとしています。

清算期間は「○か月と○日」形式で指定するため、入力チェックの時点では清算期間の暦日数が確定していません。1月は31日、2月は28日という感じで暦日数が変動します。
そのため、入力チェック時には1か月=31日として仮の暦日数をもとに総枠を計算しています。

月報作成時には実際の暦日数をもとにして総枠を決定しているため、入力チェックを通過した値でも法定労働時間を超える(残業が発生する)場合があります。

総労働時間固定値(フレックス)

総労働時間指定方法が「固定値」の場合のみ入力できます。

総労働時間1日あたり(フレックス)

総労働時間指定方法が「1日n時間×所定労働日数」「標準となる1日の労働時間×所定労働日数」の場合のみ入力できます。

コアタイム及びフレキシブルタイム(フレックス)

フレックスタイム制の場合のみ入力できます。

意味

コアタイム、及び、フレキシブルタイムを入力します。複数の時間帯を指定できます。
ここで入力した値は、カレンダー設定時の初期値として使います。
カレンダー設定時に何もしなければ、毎日同じコアタイム・フレキシブルタイムとなります。

カレンダー設定時に日々異なる値のコアタイム・フレキシブルタイムを設定できます。基本的にコアタイムを定めずにスーパーフレックス制としておき、毎月1回の会議の時だけコアタイムを指定するといった運用もできます。

法律関連の情報

労働基準法 第32条の3 ←始業時刻と終業時刻の両方を労働者の決定に委ねる必要があります。

委ねるのは始業時刻と終業時刻だけで、労働日まで委ねているわけではありません。
法定休日や所定休日は定める必要があり、休日に勝手に働くのはNGです。
労働者が始業時刻と終業時刻を決定するときに「null」という選択肢もあります。始業時刻と終業時刻をnullにした場合、結果的に「出勤しない」ことになります。

労働基準法 第37条 ④ フレックスタイム制であっても深夜労働の判定は行います。
スーパーフレックス制の場合、意図的に深夜労働をすることで給与を増やすことができます。
企業側は深夜時間帯に働かないようにフレキシブルタイムを決めておくことで、意図的な深夜労働を防ぐことができます。

フレキシブルタイムを極端に短く設定するのはダメです。労働者の決定に委ねた事になりません。
元ネタ
昭和63年1月1日 基発第1号、婦発第1号
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1899&dataType=1

「極端に短い」の基準を明示した資料は見つかりませんでした。
参考として、下記資料では極端に短い例として30分と書かれています。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/2014318104110.pdf

当システムでは、コアタイムとフレキシブルタイムの開始時刻・終了時刻がどちらか一方でも重複している場合はエラーとします。フレキシブルタイムの長さについてはチェックしません。

当システムでは、コアタイムを設定する場合は、必ずコアタイムを含む形でフレキシブルタイムも設定する必要があります。
フレキシブルタイムの外側(働いてはならない時間帯)に、コアタイム(働かなければならない時間帯)を設定するというミスを避けるための仕様です。

完全週休二日制フラグ(フレックス)

フレックスタイム制の場合のみ入力できます。

ONにした場合、法定労働時間の総枠を計算する式が変化します。
結果として残業が発生しにくくなります。

カレンダー設定の際に週休二日であることをチェックして、違法な状態になることを防いでいます。

労働基準法 第32条の3 ③ に書いてありますが、下記資料の方が参考になりました。

わかりやすい資料
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

実働不足繰越フラグ(フレックス)

フレックスタイム制で実動時間が総労働時間に満たない場合、次の清算期間に不足分を繰り越すかどうかを設定します。

次の清算期間の法定労働時間の総枠に達するまでは繰り越しできます。
総枠を超える分は繰り越しできず、消滅します。結果として給与が減ります。

次の清算期間にあたる部分がフレックスタイム制ではない場合、繰越を行いません。結果として給与が減ります。

入力項目(協定届帳票用)

労使協定有効期間

労使協定の有効期間を入力します。

有効期間の最大値について調べてみました。

変形労働種別条件有効期間参考
通常なし就業規則には有効期間に関する仕様はない
1か月単位就業規則なし就業規則には有効期間に関する仕様はない
1か月単位労使協定3年以内が望ましい平成11年3月31日 基発第169号
労使協定で定める場合は有効期間が必須(労働基準法施行規則 第12条の2の2)
1年単位労使協定1年程度が望ましい
3年程度以内であれば受理して差し支えない
平成6年1月4日 基発第1号
有効期間が必須(労働基準法施行規則 第12条の4)
1週間単位労使協定有効期間を定める必要はない平成6年3月31日 基発第181号
フレックス清算期間 <= 1か月
&& 就業規則
なし就業規則には有効期間に関する仕様はない
フレックス清算期間 <= 1か月
&& 労使協定
不明有効期間の長さ制限に関する情報は見つかりませんでした。
フレックス清算期間 > 1か月不明有効期間が必須(労働基準法施行規則 第12条の3)
有効期間の長さ制限に関する情報は見つかりませんでした。

他の有効期間について

36協定の有効期間は1年間固定(労働基準法 第36条 ②)
労使協約で定める場合、労使協約の有効期間は最長3年(労働組合法 第15条)

入力チェック

法律とは関係なく、当システム独自の入力チェック処理があります。
明らかにミスと思われる入力をエラーとして扱います。
下記の条件が成り立たない場合は入力エラーとなります。

超過労働起算日 >= 労使協定有効期間From であること。
変形期間起算日が労使協定の有効期間内であること。
労使協定成立年月日 <= 労使協定有効期間Fromであること。

1か月単位の変形労働時間制の場合、最初の期間が労使協定有効期間内であること。
1年単位の変形労働時間制の場合、変形期間が労使協定有効期間内であること。
フレックスタイム制の場合、最初の清算期間が労使協定有効期間内であること

協定の成立年月日

システム内での処理には関係していません。

労使協定当事者職名

システム内での処理には関係していません。

労使協定当事者氏名

システム内での処理には関係していません。

将来的にe-Gov連携を考えている場合、入力可能文字種や桁数をe-Gov側の仕様に合わせておくと便利だと思います。

労使協定当事者選出方法

システム内での処理には関係していません。

旧協定名

1年単位の変形労働時間制の場合のみ入力できます。

労働基準法施行規則 第12条の4 ③ により、旧協定が存在する場合は新たな協定の総労働日数などに制限がかかります。

「旧協定」として、システム内に存在している契約データを参照することができます。
システム内のデータを参照した場合、下記の項目は自動でセットされるため、入力の手間が減り、誤って違法な設定にする可能性も減らせます。

システム内に該当データが存在しない場合は、各項目への手入力も可能です。

旧協定の対象期間起算日

システム内での処理には関係していません。

旧協定の対象期間年・月・日

システム内での処理には関係していません。

旧協定の労働時間が最も長い日の労働時間数

入力チェックの元ネタとして使います。
労働時間数などの値は、カレンダー設定時に自動計算した値を保持しています。

旧協定の労働時間が最も長い週の労働時間数

上記の項目と同じです。

旧協定の対象期間中の総労働日数

上記の項目と同じです。

業務の種類

協定届帳票に出力するための値を入力する項目です。
帳票の様式を見る限りでは複数行入力しても良さそうなので、こちらの項目も複数行入力可能にしました。

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